ユーザー事例
コープデリ生活協同組合連合会
“記録する”から“育てる”へ。通信型ドラレコを活用
したコープデリグループの安全運転への取り組み
~「無事故プログラムDR®」と「BP-BOX」導入事例~
User Profile
- 創立
- 1992年7月21日
- 組合員数
- 約3,850,000人(2025年現在)
- 本社所在地
- 埼玉県さいたま市南区根岸1丁目4番13号
- 出資金
- 353億3200万円
- 会員生協
- コープみらい・いばらきコープ・とちぎコープ・コープぐんま・コープながの・コープデリにいがた
導入前の課題と導入の狙い
SDカード型ドライブレコーダーの運用に限界。
安全指導の精度と効率性が課題に

コープみらい コープデリ町屋センター
センター長 幕内 一浩 氏
安全・安心を組合員に届けることを使命とする生協では、宅配事業で商品を配達する業務の特性上、職員の安全運転向上に高い意識で取り組んでいる。連合会での配達車両の管理や安全運転向上を担当する横川氏は、「重大事故を起こさないこと。未然の防止策を講じること。これは全国の生協に共通する認識で、さまざまな手段で職員への安全運転啓蒙に努めています」と語る。
かつてはコープデリグループの各生協が独自に安全運転の取り組みを行っていたが、2004年頃から各生協の安全運転担当者が、定期的に集まり交流会議を開くようになった。この交流を通じて、2006年には統一の安全運転マニュアルを作成。グループ全体が共通認識のもと、安全運転活動に取り組むようになった。
千葉・埼玉・東京を事業範囲に、約385万人の組合員を有するグループ最大規模の「コープみらい」で宅配センターのセンター長を務める幕内氏は、「事故防止と職員の安全運転意識向上を目的に、コープみらいではSDカード式のドライブレコーダーを配達車両全車に装備していましたが、運用上課題が生じていました」と、以下の課題を抱えていたと語る。
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- ① 膨大な映像から特定の運転行動を抽出・確認する作業負荷が高く、非効率
- 特に、事故比率の高い配達時のバックの安全確認行動を確認するにも、チームリーダーがSDカードから映像をピックアップ、正副長が最終確認するフローに時間と人手を要し、業務効率化が望まれた。
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- ➁ 毎月点検する箇所が同じ
- ルート配送のため、同じ曜日・時間に同じ場所を通行することが多く、結果として以前確認した箇所を再度見る形となり、効果的な指導につながりにくい。
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- ➂ SDカードの容量の問題で、運転行動を遡るのが困難
- SDカードに残る映像は、1週間から最大2週間程度。事故の際、以前の運転行動を確認することが困難で、原因究明や指導に活かしにくい。
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- ➃ 点検は月1回、タイムリーな指導が難しい
- ルールや運用上、物理的に点検は月に一度しか行えず、指導が後手になりがちだった。
導入経緯
「まさに求めていた仕組み!」 要望に応えた
『無事故プログラムDR』と『BP-BOX』

コープデリ連合会 宅配運営企画部
ウイークリーコープ課 企画担当 横川 幸夫 氏
連合会はグループ全体として、タイムリーに動画確認ができる通信型ドライブレコーダーの導入を前提に、調査・検討を開始した。横川氏は、「2021年頃、安全運転イベントで他の生協が導入していたBIPROGYの『無事故プログラムDR』を知り、話を聞いたのがきっかけです」と当時を振り返る。
さらに、2022 ~ 2023年頃から、衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)が標準搭載されたトラックが登場。新規車両にはAEBSが装備されたため、既存車両にも安全装備の導入を検討する必要が生じた。「BIPROGYさんに相談したところ、『無事故プログラムDR』と連動して人の接近検知と警告、同時に管理者への動画通知などが可能で、既存車両への後付けができる管理システム(後の『BP-BOX』)を開発中であると伺いました。これはまさにコープデリグループが求めていた仕組みでした」と横川氏。
幕内氏も、「この仕組みなら、その時何が起きたのかを職員本人と管理者が同じ目線で共有でき、ヒヤリハットの情報をもとに具体的な改善策を話し合える、指導効果が高まると期待しました」と話す。
こうしてコープデリグループの要望に合致した、BIPROGYの『無事故プログラムDR』および『BP-BOX』の導入が決定。特に『BP-BOX』の開発においては、「お互いの意見を出し合い、良い製品を作っていこう」という切磋琢磨のプロセスがあった。「コープデリグループが実運用に即したフィードバックを提供することで、必要な機能を一緒にブラッシュアップしてきた実感があります。
特に、雪道や坂道など多様な走行環境でのテスト協力は、検知精度の向上に貢献したと聞いています」という横川氏の言葉通り、試行期間から数多くのトライアンドエラーやディスカッションを重ね、『BP-BOX』は機能強化が図られた。
無事故プログラムDRの概要
通信型ドライブレコーダーを社用車へ設置。
ドライバーが危険な運転をすると、管理者へ自動で映像をメール通知。

導入効果
リアルタイムでの指導が可能に。「見てくれている」が安心につながる
『無事故プログラムDR』および『BP-BOX』の導入により、従来の運転管理業務における非効率な課題を根本から解決するとともに、事故防止に直結する多岐にわたる効果が得られている。従来は月1回の点検が限界で、タイムリーな指導が難しかったが、導入後は危険運転行動を検知するとリアルタイムで管理者に通知されるため、都度指導が可能となった。バック時の安全確認についても、膨大な映像から手動で該当場面を探し出す作業が不要となり、業務負荷は大幅に軽減された。さらに、インカメラ映像の活用により、指差し呼称安全確認の省略や焦りによる行動の変化を把握し、即時の指導に結びつけることで、指導効果も高まっている。「無事故プログラムDRでは、例えばバック時に時速4キロを超えたり、停止すべきタイミングで止まらなかったりするとアラートが鳴ります。運転基準や守るべき行動が明確になり、指導の際も『4キロを超えない速度を守る』『しっかり止まって確認する』など、具体的な指導が可能になりました。

リアルタイムでの確認
結果として、時間に余裕を持った運転行動へと改善され、バック時の事故は確実に減少しています」と幕内氏。職員側の意識にも変化があった。「『見られている』という意識が安全運転へのモチベーションとなり、同時に『ちゃんと見てくれている』という安心感と信頼につながっています」と横川氏。さらに、職員が自らの運転行動を客観的に振り返る契機にもなっている。
幕内氏は、「アラートが多ければ、『自分の運転に問題があるかもしれない』と気づき、運転の癖を見直すきっかけになります。自分の運転を動画で自己点検するなど、新たな習慣も生まれています」と評価する。
さらに、SDカードの容量制限で過去の運転行動を遡って確認できなかった課題も、過去3カ月分の履歴確認が可能となったことで解消された。ルート配送により点検が同一箇所に偏る傾向も、無作為なタイミングでの確認が行えるようになったことにより改善した。
「光るドライバー」の育成
「 光る運転」を見える化。仲間の運転行動や情報の共有で「自分ごと」に
ドライブレコーダーは一般的に、危険運転や事故の瞬間を記録し、罰則や指導の材料として使われる。コープデリグループは、危険運転を見つけ出すだけでなく、優れた運転行動に「光を当てる」ために活用している。ネガティブなアプローチ以上に、「優れた運転を称賛し、良い行動を広める」というポジティブなアプローチを重視しているのである。
具体的には、ドライブレコーダーの映像やアラート機能を活用し、模範的な「光る運転」を実践した職員をグループ内で紹介し合っている。身近な仲間の評価に値する運転行動が可視化されることで、他の職員も自分ごととして受け止めやすくなり、運転技術や安全意識の向上につながっている。
ヒヤリハット事例についても、グループ内で積極的に共有している。一時停止違反や信号無視といった危険な運転、あるいは見通しの悪い交差点や子どもの飛び出しの可能性がある路地など、仲間の運転映像を通じて知ることで危険を察知する力が高まり、事故を未然に防ぐ効果がある。こうしたアプローチは、事故防止はもちろんのこと、職員一人ひとりの運転に対する意識を高め、安全・安心を届ける生協の職員としての誇りを育むことにもつながると考えている。
今後の展望
重大事故リスクの回避と今後の展望 光るドライバー育成ために、
さらなる進化を目指す
まもなく、コープデリグループの配送車両すべてに『無事故プログラムDR』および『BP-BOX』の導入が完了する。今後は、居眠り運転の検知機能や、AIによる映像解析・抽出機能など、現場のニーズに即した機能強化も期待されている。
「職員は真夏や雪道といった過酷な環境でも業務を遂行しています。集中力が切れた瞬間のリスクは非常に高く、特に居眠り運転は重大事故に直結しかねません。こうしたリスクを回避する仕組みをお願いしたい」と、横川氏は語る。
さらに、「光るドライバー」の育成を主眼に、ポジティブな意識改革を促す仕組みとしての活用も引き続き進めていく方針である。地域に安全・安心を届ける存在であり続けるため、安全性と職員の成長の両立を追求するコープデリグループを、BIPROGYはこれからも支援していく。
- ※記載の会社(組織)名、商品名などの固有名詞は、各社(組織)の商標または登録商標です。
- ※本ページは2025年7月取材時の情報です。
- ※本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
なお、事例の掲載内容はお客さまにご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社ではご質問をお受けできませんのでご了解ください。
